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思案グラス 1.2

It's under construction.

『Gのレコンギスタ』における、名前の寓意

今回は『Gレコ』の名前についてちょっとだけ。

この作品では名前を複数持つキャラクタが何人か登場する。その中でも、ベルリラライヤルインの三人は、プロットの中に名前の持つ寓意みたいなものが込められていると思っていて。


ベルリにとって、ラライヤの事例はカウンター

ラライヤは、1話で記憶と名前を失って退行するキャラクタだ。

彼女は周りからラライヤ・マンディと呼ばれ、「子供」として扱われるようになる。

ところが、宇宙に上がって「アクパール」の名前を取り戻すと、彼女は途端に「女性」として扱われる。

リンゴからは熱烈なラブコールを送られ、ガールフレンドのいないケルベスからも、モテモテになる。

チュチュミイ時代は、恋愛対象としては見られずに、常に邪魔者扱いで、縛られたり押さえつけられたりしていたラライヤ。ノレドに世話を焼かれていたあのラライヤが、名前を取り戻すことで、大人の「女」になる。

一方、ベルリ。

1話でアイーダに一目惚れをしてから、2話で人殺しをしてミステイク。それでもメガファウナに同行して、10話では「恋を知ったんだ!」とか叫んじゃう。もう、君が好きだと叫びたくて、喜んでGセルフを動かしちゃう。

そして! いよいよ主人公らしく、ヒロインとの恋愛なるかと思ったその矢先… 16話でレイハントンの名前を与えられて、泣きを見る。

初恋の相手は実の姉。

自分にだけない過去の記憶。

Gセルフに仕込まれていたという機械仕掛け… 

ベルリは、それらの事実に押し潰され、ヒロインとの恋愛を演じることができなくなる。憤り、自分を見失い、暴走する。

ベルリにとって「名前」が持つ意味は、ラライヤの事例に対するカウンターのようになっている。


ラライヤ
・マンディ から アクパール へ
・名前を取り戻す

ベルリ
・ゼナム から レイハントン へ
・名前を奪われる

この対比が強い皮肉として画面に表れるのが、第17話「アイーダの決断」の冒頭。


彼が奪われ、彼女が得たもの

17話。始まってすぐ、主役機のGセルフが映る。けれど、乗っているのはラライヤで、ベルリはショックを受けて寝込んでいる。

ごみ掃除をしながら、ラライヤとアイーダを巡って、リンゴとケルベスが茶番を繰り広げるんだけど、これがベルリには耐えられない。

本来、ベルリは主人公としてGセルフに乗って、アイーダのそばで、彼女のために戦いたかった。ところが、アイーダさんは姉さんで…

と、これだけでも辛いのに、"つい最近まで女性として見られていなかったラライヤ" が、男たちとイチャイチャする。しかも、ベルリじゃなくても、Gセルフは動かせてしまう。


これはベルリにとって、存在理由を奪われたようなもの。(=名前を失うとは、そういうことなんだけど)

だから、ベルリが「もう!なんなのこの音!」って怒るのは、話の中では、艦内の騒がしさに対してだけど、

メタ的には、リンゴとケルベスがやってる茶番に対して、あるいは、「主人公失格」の烙印を押されたことに対して向けられてるように思うんだよね。

なんだよお前ら!これ見よがしにさぁ!ケルベス中尉なんて、こないだまでラライヤを子供扱いしていたくせに!ちくしょうー!僕だって主人公らしく恋をしたいんだー!っていう。(このへん監督は容赦ないよね。リアルイズヘル!)


「ベルリ・レイハントン」として生きること

「何がレイハントンだ…!」ってキレたベルリって、僕はかなり好きだった。

放送当時、「ベルリ=受け身で流される主人公」っていう図式がネット上でたくさん観測されたけど、それを覆す勢いが感じられて、すごく期待したんだよね。

ところが、17話が始まってみれば、主役機は女の子に奪われ、本人は頭痛で寝込んで、あっさり「ベルリ・レイハントン」になってしまう。

もちろん、彼の苦悩というのは、この後ずっと描かれるんだけど、「そこ、負けちゃうのかぁ…」っていうのが拭えなくて。

ただ、彼が別の名前で生きていくことには、もうひとつ、大きな意味があるというか、『Gレコ』を貫くプロットとして、「だから、これは切り離せなかったんだ」と思うことがあって。

その辺は、ルイン・リーの話と合わせて、
また次回、お話しできればいいかな。




えーと… 次回があれば、なんだけど(笑)


次項:レイハントンの呪縛



シリーズ記事
『Gのレコンギスタ』における、名前の寓意
レイハントンの呪縛
ライバルの名は、ルイン・リー

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